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性懲りもなくエメ沼の二次創作
とにかくエメトセルクにしゃべって欲しくて性懲りもなく書いた。
最終決戦前の水晶公とエメトセルクの話。
真面目に書いたけど撃沈した感があるよ。約5000字。



檻の中の記憶

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水晶公が意識を取り戻したとき、彼の四肢は鎖で拘束され、磔にされた状態で檻の中に閉じ込められていた。朦朧とした意識の中、状況を理解しようと必死に頭を巡らせる。コルシア島での決戦の後、勝利した英雄は溜め込んだ光の力を制御しきれず暴走しかかっていた。その様子を見た彼は、あらかじめ準備していた通りに強制転移術を発動させ、英雄から光の力を奪い、自身の肉体とともに次元の狭間へと消し去るつもりだった。
その最中に、背部に衝撃を受けて意識を失った。銃声のような音がしたのは覚えている。おそらくは何者かに後ろから撃たれたのだ。
「お目覚めかね」
彼が目覚めるのを待っていたかのように、目の前に男が現れる。第一世界に光の氾濫を起こさせ、ヴァウスリーを作り出して第八霊災を引き起こそうとした、アシエン・エメトセルクだ。
何が起こったのか正確には分からないが、今自分がここに拘束されているのは多分この男のせいなのだろう。手も足も何も出せない絶望的な状況ではあるが、せめてもの抵抗に相手を思いきり睨みつける。
「おぅおぅ、敵意むき出しだな」
底意地の悪い笑みを浮かべながら、檻を開けてエメトセルクは近づいてくる。
「お前の身体は隅々まで調べさせてもらったよ…肉体をクリスタルタワーと同化させるとは、また随分と思い切ったことを考えたものだ。当時の皇帝にその発想があれば、奴も死なずに済んだだろうになぁ…クククッ」
死を恐れ、その運命に抗おうとした当時の皇帝は死を恐れるあまりに闇を呼び寄せてしまった。その当時の何を思い出したのか、エメトセルクはくつくつと笑った。
「しかし不便なところもあるようだな、塔から離れすぎると生命活動が維持できなくなる」
唐突に真顔に戻って水晶公に視線を戻して言った。弱点は把握したぞとばかりにニヤリと笑う。水晶公はただ奥歯をかみしめながら相手を睨みつけるしかなかった。
「そう睨むなよ。だから助けてやってるんだ。わざわざアラグの機構を探してきてやったんだからな」
どうやらそれは事実のようで、水晶公が縛り付けられているのはアラグで使用されていた非常用のバッテリー装置のような機構で、そこに繋がれているおかげで彼はこうして意識を取り戻すことができたのだった。
「何が目的だ?」
「質問をする権利はお前にはない。私はお前の知識と技術が欲しいだけだ」
「誰がお前なんかに……がはっっ!」
反論しようとした途端に、腹に膝蹴りを食わされる。
「うるさい奴だな。ご丁寧に教わろうなんて思っちゃいないよ」
そしていきなりガツリと額を鷲掴みにされたかと思うと、頭の中を直接引っ掻き回されるような強い衝撃が走った。
「・・・っ、・・・・ぁ・・・」
「・・・ふん、なるほど」
どうやってそんなことができるのかはわからないが、記憶情報を直接読み取っているらしい。
「第八霊災後の未来から時を渡り、第一世界の統合を防ぐべく原初世界から英雄を呼び寄せた、と」
エメトセルクは手を離すと腕を組み、しばらく考え込んでいた。
「神をも恐れぬ所業とはまさにこのことだな、望むものを手にするため時の流れまでも書き換えようと足掻くか」
言いながらふと笑みを漏らす。それは先ほどまでの嘲笑とは異なる、感嘆を含む笑みだった。
一万年以上もの時を過ごしながら、そのような手段には自分たちは思い至らなかった。歴史を書き換えるなど、再びこの世の理が解けてしまってもおかしくはない手段だ。そのような手段でさえ、恐れることなく貪欲に求められるというなら、認めたくはないが、短命な愚か者の方が、生きるうえで優位な部分もあるのかもしれない。
どの道、自分の目に見える範囲以外の影響などわかるはずもないし、分かったところで行動を変えられはしないだろう。
「…ところで、一つ聞きたいことがある」
エメトセルクはまた唐突にその笑みを消すと、手にした銃を水晶公に向けながら言った。
「お前、死にたいのか?」
一瞬、何を聞かれたかわからず、水晶公は驚いて相手の顔を見た。冷たく、ただ見定めるように真っ直ぐに見下ろしてくる金色の瞳。
「さっさと答えろ。イエスかノーか」
返答がないことに焦れたのか、きつい視線で睨まれる。警戒心から答えを躊躇っていると、銃声が響き銃弾が頬をかすめていった。
「記憶は読み取れても思考は読み取れないからわざわざ聞いてるんだ。死にたいのなら今すぐ撃ち殺してやっても構わんぞ」
冷たく見下ろす瞳に、笑みはない。そこにある感情は苛立ちなのだろうか?鋭利な刃物を突き刺すかのような鋭さを視線に感じる。
「死にたくなんか…ない」
「だがお前は、英雄様を助けるために死のうとした」
突き付けられた銃口が、ぐいと水晶公の顎を押し上げる。ぶつかった視線の中にあるのは憎しみなのか、怒りなのか、その声は低く聞く者を圧し潰すような圧を含んでいた。
「死にたくはない。だが私は、…いやこの世界は、決してあの人を失うわけにはいかないんだ!」
屈するわけにはいかないと挑みかかるような眼で睨み返し、水晶公は反駁した。自分だけではない、英雄の物語に希望を託したすべての時代のすべての人々の願いがそこにかかっている。
「ほう。ならばお前はまたあの英雄が目の前で光に呑まれそうになったら、同じことをすると?」
「他に選べる方法がないなら、私は躊躇いはしない」
「なるほど。まぁ、それももう手遅れかもしれないがな。今頃は罪喰いになって仲間を食い散らかしているかもしれん」
エメトセルクは意地悪く笑って、突き付けていた銃を下ろした。傍にあった小さな椅子に腰を下ろし、顎に手を当てて少し考えるような仕草を見せた。

「時空を超えた事象観測…か。見るだけなら、可能性としてはありうるのか。干渉するのはさすがにリスクが大きいが…」
起こり得たかもしれないあらゆる可能性を、事象として観測できるのであれば、はるかな過去に失われたものも、遠い未来に得られるかもしれないものも、見ることができるのではないか。少しの間瞑目して考えた後、エメトセルクは立ち上がった。
「水晶公、お前のいたはずの未来は、どうなっていると思う?」
「それは・・・」
「事象観測とやらを行えば、見えるのではないか?お前はそれを、見るべきではないのか?」
「あれは、天より来たりしオメガと、蛮神アレキサンダーとガーロンド社の知識と技術があってこそのもの、私の力ではない」
「それだ、つまり、高度な計算処理技術と時を操る蛮神の能力を組み合わせた…」
バチン!とエメトセルクが指を鳴らすとオメガの端末らしきものと小型化されたアレキサンダーの動力らしきものが創造される。
「あとはお前の記憶があれば、見るだけなら可能だろう・・・見せてみろ」
微かな電子音が響き、周囲に映像が再生される。データの欠損が多いためかノイズがかなり多いが、大体の事象は把握できるようだ。
第八霊災後の未来の、残り少なくなったエーテルを巡っての終わりのない争い。人々は争い、涙を流し、血を流し、一人また一人と倒れ、死んでいく…。
希望を失った世界の残酷な現実が、そこにはあった。
だがその絶望の中にさえ、道を拓き、未来をつかもうとする者がいた。
選んだ希望の形が、たとえ自らの消滅を意味するものであっても、それでもすべてを失うことにはなってほしくないと、願う気持ちがあった。その願いが奇跡を生み、彼は時を超えて新たな未来へ希望を託すため第一世界へと降り立ったのだ。
しかし、彼が旅立った後にも世界は続いている。映し出された映像の中で、母親と幼い子供が食料を奪おうとするならず者に襲われ、無残に殺されていた。誰かが叫び声とともにそのならず者を斬り殺し、その誰かはまた別の誰かに殺されて…。
「お前がここへ来るために、捨ててきた世界の姿だ」
次々に映し出される死の光景に、思わず目を背けそうになるのを見透かしたようにエメトセルクが低い声で告げる。
「だが結局はどこも同じだな」
映像を見ながら、エメトセルクがつぶやいた。
刹那の時の中で、繰り返される生と死。もう厭というほど見てきたのだ。彼らからすれば、なりそこないの生命などどれも等しく束の間の夢のようなもの。14の世界で似たような形を成しながら、一つとして同じものはなく、生まれては消え、生まれては消え、霊災によりひととき数を減らしても、また数を増やしてまた同じ過ちを繰り返すのだ。
「そうだな、ついでに見せてやろう。私が見ている世界を・・」
エメトセルクが指を鳴らすと、映像にフィルターがかかったように別のヴィジョンが重なる。死にゆく者の魂を構成するエーテルが解かれて仄かに光輝く帯になり、はるかな天へと昇り煌めく冥界のエーテルの海へと還っていく。
死にゆく者は皆、その穏やかな優しい光に包まれて、温かな悠久のまどろみの中へと還ってゆくのだ。
死というものに対して抱く恐ろしいイメージとは裏腹に、それを迎え入れる世界はとても穏やかで美しい。そこには全ての悲しみを癒すかのような優しいぬくもりがあった。
「これは・・・」
見せられた光景に水晶公は言葉を詰まらせた。
自分が捨ててきた世界に、残されたものたちの生命が、一つの海へと還ってゆく。どこまでも広がるその海は時を超え次元の隔たりを超え、この世界に寄り添い、あまねく光を宿し揺蕩うもの。
「あの海だけはいつまでも変わらない…いつまでも」

冥界の輝きはずっと変わらないのに、この世界に生れ落ちてくる魂は皆一様に薄められて弱々しく儚い輝きしか宿さない。その不完全な生命が生き急ぐあまりに愚かな争いを繰り返し、悲しみのうちに死んでゆく。かつての、あの満たされた時代の輝きはもうそこにはない。世界が、そんな不完全な形しか与えないというのなら、世界はきっと壊れている。
壊れているなら、それを正さなくてはならない。
あの輝きに満ちた世界を、取り戻さなくてはならない。
決意を己の中に刻み付けるように、エメトセルクは目を閉じた。眼を開けば、いつもあの美しい海が見える。優しいぬくもりに満ちた、穏やかな世界が見える。
 
――昔日の温もりは、あまりにも遠いのに。もはやこの手は届かないのではないかと、考えてしまいそうになるほどに・・・。

再び目を開いて、その光を見つめながら、エメトセルクはふと手を伸ばしそうになり、途中ではたと気付いて思いとどまった。
穏やかな眠りの中の、いつか還る場所。
今は、まだその時ではない。

「さて、見たいものは見られたし、用は済んだな」
エメトセルクはパチンと指を鳴らし、創造した装置を消去した。
「私の計画が成就すれば、あの未来がやってくるんだ。悪くない未来じゃないか、なぁ?」
「お前たちの望み通りになどさせはしない!」
からかうように言われて、水晶公は歯軋りしながらエメトセルクを睨みつける。その眼も、悔しさに歯噛みする姿も、幾度となく見てきた。刹那の時の中で生きようと足掻くなりそこないの姿だ。
「英雄が罪喰いになってしまえば、それで終わりだよ」
エメトセルクはそう言いながら背を向け、檻を閉ざして出て行こうとする。
「ああそうだ、もう一つ聞いておくか」
そこでふと足を止め、振り返って言った。
「お前以外の誰かが死んで、そう、例えば世界の半分の人間が死んで、あの英雄を救う方法があったとしたら、お前はどうする?」
「・・・!?」
あまりに突飛な問いかけに、水晶公は目を丸くした。
しばらく答えを待った後、エメトセルクは大きな声をあげて笑い始めた。
「ふっ、フハハ、ハハハハハ!意味のない問いかけだったな!ありえない仮定を前提にした質問だ。問うことにも、答えることにも意味はない。お前はその方法を知らないのだからな!」
ひとしきり笑った後やや早口に言葉を続け、エメトセルクは今度は振り返らずに部屋を出て行った。
 
アーモロートの街に、英雄とその仲間たちが近づいてくる。

エメトセルクはその街の廊下を歩きながら、これから訪れるであろう近い未来に思いを馳せていた。短く切り取られた時間の中で繰り返される生と死、その刹那に繰り返される喜びと悲しみは、さながら舞台のようだ。生者が死者を惜しみ悲しむのもそのわずかな間だけのこと。

重くのしかかる明日という重圧を振り払うように、背を屈めゆっくりとしかし着実に歩を前に進めた。

さぁ、そろそろ役者も揃ったようだ。
この星の未来を決める物語の、最終幕の開演と行こうじゃないか…!
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決戦前のあれね。
考えてた時はもうちょっとカッコよくなると思ったのにならなかった・・・文章力が足りない、がくり。
まぁ本編がかっこよすぎるから。
エメトセルクの気持ちを考えると本当にしんどい。
しかも冥界が見えるって結局どういうことなの?
何考えてんのかよくわかんないことが多いから、もっとちゃんと話して欲しい。でも最後の最後にやっぱり彼は、英雄を救う方法を選んだんじゃないかって。そんな気がするんですよ。わかんないけど。
水晶公とエメトセルクが仲良くしてくれればもっと違う道があるように思うんだけど、ちっとも仲良くしてくれなかったね。もうちょっとネチネチいたぶるようなのも考えたけど無理だった。公も暁も好きだしどこに向かっていいのかわからない。エメトセルクが本気で口説けばいけるはずだと思うんだけどなぁ…。
| FF14 | 10:10 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark









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