2009.04.25 Saturday
小説 On the Way to a Smile ファイナルファンタジーVII
評価:
野島 一成 スクウェア・エニックス ¥ 1,470 (2009-04-16) |
あぁ、クラウドがちゃんといる!セフィロスもエアリスも、ちゃんといる…!
読み始めてしばらくして、最初に出てきた感想がそれでした。
デンゼル編はWEB版を読んでいなかったので今回が初読でした。特典のアニメは先に見ていましたが、小説版の方が説明が多いのでより深く理解できたような気がしました。
ACの設定を補完してくれてる部分がたくさんあって、星痕のこととか、ストライフ・デリバリー・サービスができた経緯とか、社長の苦労話とか、正直意外な程に細かくしっかりと設定されていて驚きでした。
その設定があるとわかった上で、ACでの各キャラの行動を思い起こすとあぁなるほどと思えるし、クラウドの行動が実にクラウドらしくて、面白いと思います。
デンゼル編、ティファ編ではACに至るまでの2年間のクラウドとティファの様子、そしてデンゼルの設定がいろいろと明かされています。ACでティファが「本当の家族じゃないから、ダメか」って言うのはこの経緯があったからなんだなー、と納得できる内容です。 個人的には、いろいろ心配されつつ大事にされてるクラウドがやっぱり可愛いと思いました。なんでこのヒトはこんなに不器用でダメダメなのにいざとなると頼りにしたくなるキャラなんだろう・・・!唐突にバイクに乗ってきた話とか、笑えますね。やっぱり私はどうやってもクラウドが好きなようです(^^;;
バレット編はライフストリームとエネルギー資源をめぐるお話が背景にあって、ACでバレットが「ゆ・で・ん〜〜!」と叫んでる裏にはこの経緯があったということのようですね。とりあえず悩むと銃をぶっ放すその性格はゲームのまんまバレットでした。
ナナキ編はちょっと読んでいて辛い話でしたが、他のキャラと違って少し突き放した視線で生命の流れについて描かれていました。あんまり大きく話題にはされないけど、FF7のテーマ「命」について一番踏み込んでいるのはこの内容なのかなと思ったりしました。ヴィンセントの役割がなんともいえない感じですね。野島さんのイメージでは彼は既に人外なのか・・・。
ユフィ編は星痕症候群についての話がメインでしたね。ACではハッキリ描かれていませんでしたが、伝染するという噂のこととか、死を意識したものが罹るんだとか、割と大事なところもACでは端折っていたんだなーという感じでした。
神羅編は、とにかく社長の苦労っぷりにビックリでした。ACではピンピンしていただけに、大変だったんだなぁとしみじみ・・。脱出口の”L”の文字の話にはかなり笑わせてもらいました。レノとルードのやり取りはいつもホントに面白くて最高ですね。
読み終えてみるとACのテーマはやっぱり”家族”だったのかなぁ、なんて思ったりしました。セフィロスがクラウドへの執着を捨てられないのも、クラウドが無意識のうちに助けられたり重荷に感じちゃったりしてるのも、他のキャラがいろいろ悩んだり強くなれたりするのも、そこに"家族"に対する思いがあるからなんだろうなぁ、って。
FF7のキャラたちが持っているのは、いわゆる血の繋がりのある"家族"ではなくて、成り行き的にそうなった、行きずりの家族なんですよね。それは、世の中が近代社会から現代社会へと移行して行ったときに、それまで生まれた土地に密着して生活していた人々が都市化の進んだ大都市へ移り住むようになってそれまでの大きな家族という繋がりが失われて核家族化が進んでいった、そういう現代社会ではありふれているかたちなのだけれど、本来そこにあったはずの絆の深さや確かさを感じられなくなるときが時々あって、現代人はそこで時々、戸惑いを感じたりする。
FF7があの時代に発売されてものすごく共感を得られたのは、そういう不安定な"家族"というものに対する戸惑いを、各キャラクターのストーリーが含め持っていたからかなぁ、なんて思っていたりします。昔の社会では、生まれた土地とそこに暮らす大家族との結びつきはとても強くて、日々の生活と想いを共有する感覚の中に、確かな喜びや力強さを感じることができていたんだと思うけど、今はそういうものが失われつつある時代だから、そういうものへの憧れとか執着とか戸惑いとかが、より強く感じられてしまうのだと思う。
野島さんの描くストーリーは、この”日々の生活と想いを共有する感覚”を表現するのがとても上手いなぁと思っていて、KH2でもFF10でも、キャラクターたちに感情移入させるきっかけになる部分の導入がとても上手いなぁと思っていたりします。ロクサスの夏休みなんて、あのエピソードを重ねるだけで、ほとんどのプレーヤーはソラよりもロクサスに感情移入してしまっていたと思う。FF10でもティーダがスピラにやってきてユウナ達に出会うまでのエピソードで、初めての世界に対する戸惑いや不安をプレイヤーとティーダに共有させることで見事に引き込んでいったんですよね。よく言われる「ただいま」「おかえり」のやり取りはとても象徴的で、分かりやすい部分なんですよね。そういう何気ない、生活に密着した共有の感覚を表現することにおいては、野島さんの技術は本当に凄いと思うのです。
あぁ、なんか話が脱線してしまいましたね(^^;;
多分に意味不明だと思いますが、うん、まぁ10年前の私ならもっと必死になってこういうことを沢山書いたんだろうと思うんだけどね、最近本も読んでないし文章も書いてないしで鈍りまくってて、きっと意味不明になっていると思います。すみません。
やっぱり野島さんの描くお話は素敵だなぁ、とそういうことが言いたかっただけです。
とりあえずACCをご覧になった皆様は、一度読んで見てはいかがでしょうか。いろんな設定が補完されて、さらに楽しめることと思います。
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